2026年4月、ちくま新書から刊行された『単身高齢者のリアル―老後ひとりの住宅問題』が話題を集めています。
その著者である葛西リサさんとは、一体どのような研究者なのでしょうか。
「孤立死は年間2万件超」「貯蓄があっても賃貸に入れない」といった衝撃的な内容が反響を呼び、SNSでも本書の感想が広がっているようです。
この記事では、葛西リサさんの経歴、専門分野、これまでの著作、そして最新刊『単身高齢者のリアル』の内容まで、わかりやすくまとめてご紹介します。
葛西リサのプロフィール
葛西リサさん(くずにし・りさ)は、1975年大阪府生まれの研究者です。
現在は追手門学院大学 地域創造学部 教授を務めています。
大学院では現代社会文化研究科 現代社会学専攻を担当しており、地域社会・住宅・福祉の交差する領域で精力的に研究を続けていらっしゃいます。
学位は学術博士で、神戸大学大学院自然科学研究科を修了されています。
専門は「住宅政策」と「居住福祉」
葛西リサさんの専門分野は、住宅政策、居住福祉、家族福祉です。
とくにひとり親世帯、DV被害者、セクシュアルマイノリティの住生活問題を中心テーマとしてこられました。
研究キーワードには、ひとり親、住宅問題、居住貧困、子どもの貧困、シェア居住、空き家、シェアハウス、ケア、シングルマザー、集住といった言葉が並びます。
制度の提言にとどまらず、民間の不動産関連事業者と連携して、空き家を活用したシェアハウスの提案など実践的な活動も行っているとされています。
葛西リサのこれまでの研究と受賞歴
葛西リサさんは、住宅と福祉の境界領域における研究で、これまで複数の賞を受賞してきた実力派の研究者です。
主な受賞歴
これまでに以下のような評価を受けています。
・2009年:都市住宅学会 研究奨励賞
・2016年:住総研 研究選奨
・2019年:都市住宅学会 研究論文賞
・2025年:住総研 研究選奨(2度目)
住宅政策や居住福祉の領域で、長年にわたり安定した評価を得てきたことがうかがえます。
これまでの主な著書
葛西リサさんは、これまでに以下のような書籍を執筆・編著されています。
・『母子世帯の居住貧困』(日本経済評論社/2017年)
・『住まい+ケアを考える~シングルマザー向けシェアハウスの多様なカタチ~』
・『13歳から考える住まいの権利』(かもがわ出版/2022年)
いずれも、住まいを「個人の問題」ではなく、社会全体の福祉や人権の問題として捉え直す視点で書かれているのが特徴とみられています。
最新刊『単身高齢者のリアル』2026年4月刊行
葛西リサさんの名前が再び大きく注目された理由が、2026年4月7日にちくま新書から刊行された最新刊です。
タイトルは『単身高齢者のリアル―老後ひとりの住宅問題』。
定価1,012円(税込)、224ページの新書で、ISBNは978-4-480-07739-4となっています。
本書のテーマ
本書のテーマは「老後ひとりになって初めて気づく、住まいの現実」です。
「貯蓄があっても賃貸に入居できない」「持ち家でも安泰とは言えない」といった視点から、日本の単身高齢者を取り巻く住宅問題が掘り下げられています。
また8日以上発見されない「孤立死」が年間2万件を超えるとされる現状にも触れ、その背景にある社会構造を分析している点が特徴です。
不動産業界や民間団体による居住支援の事例を紹介しつつ、市場化された日本の住宅システムの課題についても検証されているとされています。
章立てと内容
本書は全体で4章+αの構成になっており、それぞれ以下のようなテーマが扱われています。
・第1章 孤独死の現場から:孤独死を嫌う不動産業界、セルフネグレクト、ごみ屋敷問題など
・第2章 どこで最期を迎えるか:持ち家神話の崩壊、住宅セーフティネット法、市場から排除される高齢者
・第3章 単身化する日本:氷河期世代の居住貧困、中高年シングル女性の住生活、母子世帯の居住貧困
・第4章 不動産会社による居住支援:「隙間のケア」をどう保障するか、空き家活用と集住
いずれも、これからの日本社会で誰もが直面しうる「住まいと最期」の問題を扱っており、幅広い世代に届く内容と言えそうです。
葛西リサが今、注目される理由
葛西リサさんが2026年に大きな注目を集めている背景には、現代日本の社会構造の変化があるとみられています。
単身世帯の急増、空き家の増加、ひとり親世帯の貧困化、氷河期世代の高齢化など、住まいに関する問題はこれからますます深刻になると指摘されています。
そうした中で、長年「弱い立場にある人々の住まい」を研究してきた葛西リサさんの言葉には、政策にも生活者にも届く重みがあるとの見方もあります。
『単身高齢者のリアル』は、自身の老後に不安を感じる読者だけでなく、不動産業や福祉に関わる人々にとっても示唆に富む一冊として受け止められているようです。
まとめ
葛西リサさんは、追手門学院大学 地域創造学部の教授として、長年にわたり住宅政策・居住福祉の研究を続けてこられた研究者です。
ひとり親世帯やDV被害者、セクシュアルマイノリティ、そして単身高齢者など、社会の中で住まいに困りやすい人々に光を当て続けてきました。
2026年4月に刊行された最新刊『単身高齢者のリアル』は、誰もが当事者になりうる「老後ひとりの住まい」というテーマを正面から扱い、大きな反響を呼んでいます。
これからの日本社会の住宅問題を考えるうえで、葛西リサさんの研究と発信から、ますます目が離せなくなりそうです。

