「コメは買ったことがない」との失言で5月に農相を辞任した江藤拓議員が、8月26日、自民党の新組織「農業構造転換推進委員会」の委員長に就任することが分かりました。


わずか数か月での復帰劇に、
世間からは疑問と反発の声も上がっています。
失言から更迭までの経緯
江藤氏は2025年5月、コメ価格が高騰していた局面で記者団に対し、
「コメは買ったことがない。売るほどある」
この不用意な発言は「消費者感覚と乖離している」と批判を浴び、直後に農林水産大臣を辞任しました。
その後、自民党宮崎県連会長も辞職する事態に発展。
地元の信頼も大きく揺らぐことになりました。
わずか3か月での“復活”人事
ところが同年8月26日、自民党農林役員会は江藤氏を新設組織「農業構造転換推進委員会」の委員長に起用することを了承。
新組織は9月始動予定で、
- 水田活用直接支払交付金の見直し
- 農業構造転換に向けた別枠予算の確保
といった重要テーマを議論します。
結果、失言で農政のトップを退いた人物が、わずか数か月で再び農政の中枢に戻ってきた形です。
なぜ江藤氏が再び起用されたのか
農林族の中心人物としての実績
江藤氏は宮崎県出身で、地元は農業が基幹産業。
長年にわたり「農林族」の有力議員として党内で影響力を持ち、
農政課題への知見も豊富です。
そのため「人材不足の中、やはり江藤氏が必要」という声が党内で強かったとみられます。
政策遂行の現実的な要請
水田政策の見直しや交付金改革は、農業団体や地方自治体に直結する難題。
政府の増産方針と党側の路線をすり合わせる必要があるため、
経験のある議員を前面に立てざるを得ないという事情があります。
有権者の反発と疑問
しかし、世間からすれば「失言で辞任したばかりの議員が、なぜすぐに復帰できるのか」という疑念は当然です。
- 7月の参院選・宮崎選挙区では自民党現職が敗れ、地元の逆風が数字に表れました。
- 江藤氏が地元県連会長も辞めていた経緯を考えれば、再任は「説明不足」「時期尚早」と受け止められても仕方ありません。
SNSやメディアの論評でも「結局、農政の人材が限られているから復帰させただけでは?」との冷ややかな声が目立ちます。
今後の課題
- 政策で結果を出せるか
- 水田活用交付金や備蓄米政策など、農政の大きな課題で成果を示せるかが問われます。
- 有権者への説明責任
- 「なぜ復帰したのか」「再び農政を担う正当性は何か」を丁寧に説明する必要があります。
- 党内調整と世論の乖離解消
- 党内の“農林族”論理と世論の視線が大きくズレている点をどう埋めるかがカギです。
まとめ
江藤拓議員の復帰劇は、失言からわずか数か月という早さに大きな疑問を残しました。
- 農林族の中心人物としての実績
- 水田政策見直しという緊急課題
これらを背景に起用されたことは理解できる一方、世間の信頼は完全に戻っていません。
今後の評価は、「言葉」ではなく「行動」と「成果」によってのみ左右されるでしょう。



江藤氏が再び批判を浴びるのか、それとも名誉を回復するのか――次の農政論議が試金石となります。