
熊が市街地に出没する事象が相次ぐ中、
道猟友会より発砲を拒絶とも取れる通知がありました。
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クマ出没しても発砲拒否OK 北海道猟友会が支部に苦渋の通知へ(毎日新聞) – Yahoo!ニュース
市街地に出没したクマとイノシシを銃駆除できる「緊急銃猟」制度が9月1日に始まるのを前に、北海道猟友会は20日、現場で状況に応じて発砲を断って良いと道内の全71支部に…
9月1日からクマ・イノシシの市街地出没に対処するため、「緊急銃猟」制度が始まります。
しかし、制度運用前に猟友会が「発砲を断って良い」と通知するなど、安全性・責任問題に懸念が生じています。
この記事では制度の課題を整理し、熊の出没頻度の傾向も併せて深掘りしていきます。
目次
制度の問題点整理
① ハンターに責任が集中、補償制度が不十分
「緊急銃猟」で人身被害が起きた場合、現在の制度には補償制度が整備されいません。
そのため、ハンター自身が法的責任を問われる可能性があります。
現場で発砲を断る選択肢が生まれるのも当然です。
② 市街地における安全確保の難しさ
制度では市町村が避難指示を出すとありますが、依然として人が射程内に残るリスクがあり、誤射事故の可能性も否定できません。
市街地という特殊環境で、充分な安全確保が望めるかは懸念材料です。
③ 責任の所在が不明瞭
制度では市町村の判断で発砲できるようになりました。
しかし、事故が起きた際の責任がハンターなのか市町村か環境省か、明確に定まっていません。
猟友会の対応も、「状況次第で出動を断る」とあり、制度設計の甘さが浮き彫りになっています。
熊の出没頻度は増加傾向か?
熊による人身被害のデータを調べたところ、令和5年度(2023年度)に被害件数が歴代最高を記録していることがわかりました。
下のグラフがその傾向を可視化しています。


環境省「クマ類の生息状況、被害状況等について」
主な傾向
- 平成21年度以降、4~12月の期間での出没件数が増加しており、令和5年度には過去最多に。
- 多くの地域で秋(特に9月以降)に出没件数が急増する傾向があります。
このような被害件数の増加傾向がある中で、制度を導入しても十分に対応しきれる体制なのかという点にも疑問が残ります。
まとめ:制度導入前に整理すべき視点
- 責任と補償の仕組みの確立:人身被害発生時の補償や法的保護が欠かせません。
- 安全確保と周辺への配慮:射撃環境や住民避難体制、安全距離設定など、現場ごとの検証が必要です。
- 熊出没の傾向を踏まえた運用設計:出没件数の増加・季節変動を考慮した柔軟な対応が求められます。
自治体・環境省・猟友会・住民が協議し、責任と安全が両立する制度設計こそ急務です。



熊が出没しない地域の方々が、現場に配慮して、
不要な問合せ・苦情を控えることも大切です。