
岐阜県中津川市で9月2日夜、
高校1年の男子生徒が帰宅途中にクマに襲われ、
頭部や背中を負傷しました。
命に別条はないものの、市内では今年4月以降31件ものクマ目撃情報が確認されています。
岐阜県はツキノワグマの生息地であり、県全体でも出没件数は増加傾向。
本記事では私が調べた事実関係を整理し、岐阜県におけるクマの出没状況と人々が取るべき対策を深堀りしていきます。
目次
中津川市で起きた事案の概要
- 発生日時:2025年9月2日午後7時15分ごろ
- 場所:中津川市坂下・坂下橋近くの路上(住宅地に隣接)
- 被害:高校1年の男子生徒(16)が頭部と背中をひっかかれ負傷。意識はあり、命に別条なし。
- 避難と通報:生徒は近くの住宅に駆け込み、住民が110番通報。
- 行政・警察の対応:夜間に周辺をパトロールしたがクマは発見されず。
市は9月3日の登校について、坂下・山口・川上地区の児童生徒の保護者に「送迎」を要請しました。



中津川市では今年4月以降、31件のクマ目撃情報があり、
単発の出来事ではなく継続的な出没傾向が確認されています。
岐阜県におけるクマ出没状況
生息種と特徴
- 岐阜県に生息しているのはツキノワグマであり、ヒグマはいません。
- ツキノワグマは森林地帯に広く生息し、果実や昆虫を主食としますが、人里の農作物やゴミに引き寄せられることもあります。
県の情報公開
- 岐阜県は「クママップ」を運営し、2006年度以降の出没・目撃情報をGIS上で公開しています。
- 出没地点や年度ごとの件数が確認でき、行政・住民の情報共有に活用されています。
2025年度の例:乗鞍畳平周辺
- 県が公開したリストでは、2025年5月〜8月に50件の目撃情報を確認。
- そのうち500m以内の接近遭遇は15件、1km以内は34件。
- 状況に応じて歩道や登山道を閉鎖する対応も取られています。
2024年度の人身事故(県公表)
- 6月11日:下呂市小坂町湯屋で人身事故。
- 6月25日:揖斐川町春日美束で人身事故。
- 9月18日:郡上市白鳥町石徹白で人身事故。
→ 岐阜県は「クマによる人身事故の発生」として公式に注意喚起を行いました。
全国的な傾向
- 環境省の集計では2023年度のクマ類による人身被害が過去最多(197件・218人、死亡6人)。
- 特に9月〜10月に集中する傾向が報告されています。
人々にとってのリスク
今回の事案は「山奥」ではなく、住宅地に隣接する橋の付近で発生しました。
地域に住む人々にとって気になるのは、「日常生活の安全」に直結する点です。
登下校への不安
- 子どもが通学路で遭遇するリスクが現実化。
- 中津川市は保護者送迎を要請するほど、行政も危機感を持っています。
通勤・買い物の安全
- 日没後の外出や、山沿いの道路の利用時に注意が必要。
- 市街地周辺でも出没が確認される状況では、生活圏全体が影響を受けます。
農業・観光への影響
- 果樹や農作物被害が増加すれば、地元農家の経済的損失につながります。
- 登山道や観光地の閉鎖は観光収入への打撃となります。
クマが人里に出没する要因(事実ベース)
- 餌不足:どんぐりなどの木の実が不作の年には、食料を求めて里に下りやすい。
- 生息域拡大:ツキノワグマの個体数は近年増加傾向とされ、行動範囲が広がっている。
- 生活環境の接近:宅地や道路が森林と近接する地域では遭遇リスクが高い。
- 人間活動の誘因:ゴミの放置や未収穫果実がクマを呼び寄せる要因になる。
行政と警察の対応
- 岐阜県:クママップやパンフレットを通じて情報提供。遭遇回避策を周知。
- 県警:公式サイトで「クマの出没!」を随時発表し、110番通報・不用意接近の禁止を呼びかけ。
- 市町村:出没頻発地域ではパトロール強化、学校・保護者への情報提供。
住民が取るべき具体的対策
“安全対策チェックリスト”
- 登下校や散歩は複数人で行動、単独は避ける
- 鈴やラジオで音を出し、人の存在を知らせる
- 朝夕など薄暗い時間帯の山沿いの道はできるだけ避ける
- 生ゴミや果樹を放置せず、誘因を断つ
- クマの足跡・糞など痕跡を見つけたら、すぐ引き返す
- 遭遇したら走らず背を向けず、ゆっくり後退
今後の注目点
- 中津川市での9月2日事案の詳細調査(個体の特定や捕獲の有無)。
- 県全体での2025年度出没件数の確定。
- 秋に向けて餌不足が生じれば、人里への出没がさらに増える可能性。
- 学校・通勤安全対策の継続と、住民への啓発活動の強化。
まとめ
岐阜県中津川市で高校生がクマに襲われた事案は、人里や通学路でもクマ被害が起こり得る現実を突きつけました。
岐阜県全体でも目撃・出没件数は増加傾向にあり、2025年度は乗鞍畳平だけで50件以上の確認がなされています。
政府・自治体はマップ公開やパトロールで対応を進めていますが、最終的に身を守るのは住民一人ひとりの行動と備えです。



日常の中でリスクを意識し、登下校・外出・農作業時に安全対策を徹底することが、命を守る最も確実な方法と言えるでしょう。