半導体供給網と日本の課題 台湾リスクから国内生産回帰まで

なぜ半導体は重要なのでしょうか?

半導体はパソコンやスマートフォンなどのIT製品に限らず、近年は自動車や家電、産業用ロボットなど幅広い分野に不可欠な部品です。
とりわけ、電動化が進む自動車には数千個の半導体が搭載されるとされ、もはや生活と産業の基盤そのものと言えます。

この記事では、当サイトが調査した内容をもとに、半導体に関して日本が抱える課題について深掘りしていきます。


目次

世界の供給網と台湾リスク

世界の半導体生産は、特に台湾・韓国に大きく依存しています。

  • 台湾TSMCは世界の最先端半導体の約9割を製造
  • 韓国Samsungもメモリ分野で世界シェアトップ

この構図は効率的ですが、地政学的リスクが高い点が課題です。
もし台湾海峡で有事が起きれば、世界の半導体供給は一気に停滞し、自動車や家電製品の生産が滞る可能性があります。


コロナ禍で見えた供給不足

2020年以降のコロナ禍では、世界的な半導体不足が顕在化しました。

  • 自動車メーカーが減産や納期遅延を余儀なくされる
  • 家電・ゲーム機の在庫不足や価格高騰
  • 日本国内でも新車が数カ月待ちとなる事例が発生

この経験から、「半導体供給網の多角化」と「国内生産能力の強化」の重要性が強く認識されました。


日本の現状と課題

かつて日本は半導体大国でしたが、現在は世界シェア1割以下に低下しています。
要因としては、

  • 価格競争で台湾・韓国・中国に後れを取った
  • 国内投資の縮小
  • 人材流出
    などが挙げられます。

その結果、日本は設計・製造ともに海外依存度が高くなり、供給リスクに脆弱な状況となっています。


政府と企業の対策

こうした課題に対し、日本政府と企業は次のような取り組みを進めています。

1. 国内生産回帰

  • 熊本県でTSMCとソニーグループが合弁工場を建設中(2025年稼働予定)
  • 北海道でも次世代半導体工場「ラピダス」が計画され、トヨタなど大手企業が出資

2. 研究開発投資

  • 先端半導体の開発に数兆円規模の政府支援を投入
  • 脱炭素・AI・5Gなどの分野で国内生産と技術力の回復を狙う

3. 国際連携

  • 日米欧台が供給網強化の枠組みを構築
  • 米国の「CHIPS法」と連動、補助金政策を進める

生活者への影響

半導体不足は、私たちの日常生活にも直結します。

  • 自動車の納車遅れ
    (筆者も納車に1年以上待ちました)
  • 家電・スマホの価格上昇
    (新型iPhone等は価格が高止まりしています)
  • PCやゲーム機の入手困難に
    (PS5やSwitch2の争奪戦は記憶に新しい)

逆に言えば、供給網の強化は生活の安定と物価の安定につながります。

経済安全保障の観点だけでなく、国民生活の安心感を守る意味でも重要です。


まとめ

半導体は「見えないインフラ」として、私たちの生活と産業を支えています。
しかし現状は台湾・韓国依存度が高く、供給リスクは依然として大きいままです。

日本はTSMC誘致やラピダス設立などで巻き返しを図っていますが、実際に成果が出るのは数年先。

研究開発投資、人材育成、国際連携を地道に続け、安定した供給網を築けるかどうかが、日本の将来を左右します。

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