
世界最大級のアダルトサイト「Stripchat」を利用したわいせつ動画の配信で、日本国内の配信会社社長らが逮捕されました。
警視庁が摘発したのは、国内業者による組織的な関与として初めてのケース。
収益は1億円超に達していたとされ、国際的な規制の動きも含め注目を集めています。
本記事では事件の概要、当当サイトが調べた法的根拠、海外規制、今後の課題を整理します。
目次
事件の概要:初の国内「配信業者」摘発
- 逮捕者:ライブ配信会社「TOPPA」社長(28歳)、マネジャー(24歳)、出演女性2人(40歳、34歳)
- 期間:2025年3〜8月
- 容疑:海外サイト「Stripchat」を通じて無修正わいせつ動画を生配信し、不特定多数に視聴させた疑い
- 特徴:Stripchat関連で国内配信業者が摘発されたのは初めて
警視庁によると、容疑者らはおおむね事実を認めているとされます。
収益構造と勧誘の実態
- 勧誘方法:SNSで「時給3万円以上」「報酬率最大80%」とうたい、出演希望者を募集
- 所属数:事務所には約180人の配信者が登録
- 報酬モデル:視聴者が払う「視聴料」「投げ銭」から手数料を差し引き、残額を配信者に分配
- 収益規模:警視庁は1億円超の収益を認定。容疑者は「約1億8000万円を得た」と供述
組織的に配信を支え、高額な収益を上げていた点が注目されます。
Stripchatとはどんなサイトか
- 拠点:キプロス系法人「Technius Ltd」との関連が報道
- 規模:月間アクセスは約7億回に上るとされる巨大プラットフォーム
- 利用傾向:米国、日本からの利用が特に多いと報道され、日本市場との関係の深さも示唆
違法とされる根拠:日本の刑法
公然わいせつ罪(刑法174条)
- 「公然」=不特定または多数人が認識できる状態
- ネット配信で不特定多数が視聴できれば「公然」とみなされ得る
わいせつ物頒布等罪(刑法175条)
- 電子的記録や電気通信による頒布も処罰対象
- 無修正わいせつ動画を配信可能状態にすれば違法
海外サイトでも日本法が適用される理由
- 刑法1条に基づく属地主義
- 国内のスタジオ等で撮影・配信行為があれば日本法が適用
判例が示す考え方
- 最高裁(2021年2月決定):無修正動画サイト運営に共同正犯を認定
- FC2創業者裁判(京都地裁 2025年8月):わいせつ電磁的記録陳列罪などで有罪判決
→ 「運営側が収益を得ながら違法配信を容認すれば、責任を問われる」立場が明確になっています。
EUでの規制動向
(DSA:デジタルサービス法)
- 2023年12月:欧州委がStripchatを含む大手アダルトサイトを超大型プラットフォーム(VLOP)に指定
- 義務:未成年保護、有害コンテンツ削除、リスク評価などを強化
- 2025年5月:欧州委が正式調査を開始。「未成年保護措置に不備」として最大売上6%の制裁金リスク
- VLOP解除方向:ユーザー数が閾値を下回ったため解除予定とされるが、一般義務は引き続き適用
日本からの利用状況
- 月間約7億アクセスのうち、日本からの利用は米国に次いで多いとされる
- 日本国内の需要が大きく、今回の摘発が与える影響も少なくない
クリエイターと運営のリスク
“出演者・運営が直面するリスク”
- 刑事罰(公然わいせつ:6月以下の拘禁刑や罰金、頒布罪:2年以下の拘禁刑など)
- 違法配信を容認すれば運営側も共同正犯になり得る
- EUでは規制違反で高額制裁金の可能性
- 配信映像は「デジタルタトゥー」として半永久的に残る危険
今後の注目点
- 国内捜査で収益規模や組織性の解明がどこまで進むか
- EUの正式調査がStripchatに対し制裁や是正命令を出すか
- 日本国内で同様の事例が再発しないための規制・監視体制の強化
まとめ
今回の摘発は、
- 国内での無修正わいせつ生配信は、海外サイト経由でも違法
- 事務所や運営側も共同正犯に問われる可能性
- EUでもプラットフォーム規制が強化されている
という現実を示しました。
Stripchatは巨大サイトであり、日本からの利用も多いですが、「海外だから安全」という認識は誤りです。



法律上のリスク、社会的影響、そしてデジタルタトゥーの危険を正しく理解することが、被害防止と健全なネット利用につながります。